ハンドメイドの革財布はなぜあんなに高いのでしょうか。手作業で作ると、機械で作ったときには出せない味わいがあったり、細部の仕上がりにこだわっているからなんですね。手作業でつくる革財布がどれだけ手間がかかっているか、革財布ができるまでを追ってみましょう。
タンニンなめしの加工法。タンニンなめしは作業が多く、コストもかかります。けれど、タンニンなめしにすると使い込んだときに味わいが出てきて、革本来の魅力を楽しむことができます。生きた革とは、まだ皮が加工される前から決まってくるんですね。
- 1. 水洗い
- 原皮を水洗いします。そのあと、背割りといって、皮を背骨に沿って分割します。
- 2. 石灰漬
- 石灰に漬けて皮をふくらませ、毛を抜き取ります。
- 3. フレッシング
- 皮の不要物を取り除き、皮の厚みを分割します。
- 4. なめし加工
- タンニン槽に漬けてなめし加工します。タンニン槽はそれぞれ濃度が異なり、順に薄い槽から濃い槽へと漬けます。革の種類、状態、pH値など合わせて漬ける期間を決めます。
- 5. 塩抜き
- 塩漬けされた皮を大きな太鼓型の装置で水洗いします。
- 6. 水絞り
- セッターと呼ばれる大きな機械で水分を取り除きます。
- 7. 選別
- 皮を等級ごとに選別します。
多くの染色作業が機械で行われますが、手作業にこだわった工場もあります。手作業でしか味わえない色があるというのです。
- 8. 下染め
- 太鼓の中に革と加脂、染料を入れて下染めします。
- 9. 水絞り
- セッターと呼ばれる大きな機械で水分を取り除きます。
- 10. 伸ばし
- ハンドマシンやハガネという工具を使って、革を均一に伸ばしていきます。
- 11. 乾燥
- 強制的に乾燥させる方法と自然乾燥の方法があります。アイロンをかけて革を平らにし、つやを出したり型を押します。
- 12. 面積計算
- 坪入れといって革を面積計算機に通し、面積を革に記します。
- 13. 染色
- 染色の調合や加工作業などを行います。染料の色がそのまま出るわけではないので、職人のカンによります。機械で吹き付ける方法と手作業で吹き付ける方法があります。
いよいよ革にデザインを施します。何でもなかった1枚の革が職人の手によって1つの作品となります。
- 14. 革抜き
- 革包丁を使ってパーツを切り落とします。最初はざっくり切り落として、後でぴったりの大きさに合わせます。
- 15. カービング
- 水を含ませた革に図案を置いて、鉄筆でトレースします。スーベルカッターやスタンピングなどの工具を使って彫っていきます。
- 16. 縫製・仕上げ
- 革の厚みを均一にしたり、手作業や機械で縫い合わせたりして仕上げます。
革財布の仕上がりの良さを左右する職人の技。職人といっても若手から熟練した職人まで、技術も製作に対する考えも様々です。ここでは、財布にこだわった職人の仕上げ作業に注目してみました。
- 16-1. 革漉き
- 完成したときに余計な厚みを持たせないように、革の床面を漉いていきます。専門の業者がいるほど、大切な作業。熟練した職人はコンマmm単位まで漉きを施します。
- 16-2. 菊寄せ
- コーナー部分の余った革を菊の花のように美しく寄せます。この作業が丁寧で美しいのが職人の技です。
- 16-3. カンナかけ
- コバ(切り口)部分にカンナをかけて整えます。
- 16-4. 目止め
- コバ部分に目止め液を塗りこんで磨きをかけます。
- 16-5. コバ塗り
- コバ部分に顔料を塗ってやすりをかけます。この作業を繰り返して、美しいコバ面に仕上げます。
最後に、お店で革財布を選ぶときのポイントをまとめてみました。革財布を手にとって、どのように作られたのか想像してみてください!
1. 革の手触り、風合い、厚みは適度か?
2. 縫製は細部までしっかりしているか?
3. コバ部分の仕上がりは美しいか?